新葉ファーム開業〜準備編〜
私は非農家から、農家を目指し、2017年にトマトを中心として新規就農しました。
新規就農者が受けることが出来る補助金を一切受けず、たくさんの苦労をして、条件の悪い畑を改良し続け今に至ります。
微増ながら、毎年収穫量は増えてきています。
小さな経営でも、安定的に1000万の売上を目指しています。
開業するまでの準備として、
資金はどうしたか?
たくさんの支えられたお話。
を振り返りたいと思います。
目次
開業前の現状
私は、2016年まで農業法人の役員でした。
役員=経営していたとみなされ、新規就農者に対して支給される補助金は、一切受けることが出来ませんでした。
それは分かっていながらも、今までの経験から「なんとかなるだろう」と、30才の時に開業を決意しました。
栽培技術はある程度持っていたものの、自己資金はほぼ0。
土地も無く、資材もありませんでした。
しかし幸いにも、私は地域にも、この業界に関わる方々にも顔が少し知られていました。
そのため、たくさんの人に助けてもらいながら、開業に至りました。
参入品目は簡易雨除けハウスで作る夏秋トマトです。
土地探しとハウス探し
まずは土地探し。
参入品目であるトマトでは、土地と、雨除けの簡易ハウスは必須でした。
土耕で作る野菜は、土壌の良し悪しが全てと言っても過言ではありません。
条件は
・日当たりの良い肥沃な土地
・家、出荷場選果場にある程度近い
・畑用の水利状況が整っている
・ハウスがある
・長い年月貸してもらえる
です。
欲を言えば、
・地主さんが理解ある人
・あまり人が通らない場所
でした。
しかし、飛騨は近年、新規就農激戦区。
新規就農とみなされない私にとって、条件の良い場所は空いていませんでした。
1年をかけリサーチし、日当たりの良い肥沃な土地以外の条件を満たす土地を借りることが出来たのです。
しかしこの一つの条件が満たされないことで、経営に大きなブレーキとなりました。
資金調達計画
なにせ開業時は、お金がありませんでした。
そこで運転資金をどうするか。
岐阜県の農業普及員さん、農協さん、市の担当者の方々を訪ねて相談し、ベストアンサーを探しました。
また、お金の相談は多くの方には出来ないと思い、借入について、税理士さんにも相談へ行きました。
相談料は掛かりましたが、税理士さんへの相談が一番安心出来たと思います。
私のケースでは、ステップとして、
- 一年目の経営終了時の結果を持って、5ヶ年の計画を作成。
- その計画を市に提出し、「認定農業者」に、認めてもらうこと。
- その認定農業者のみが借入可能な、融資を「日本政策金融公庫」さんから受ける
がベストアンサーだとわかりました。
融資金額については、
その時に、ベテラン農家さんや、各関係者の方々から、売上分までは借入可能だとお伺いしました。
もちろん計画に基づいて、なぜそれだけの資金がいるかを説明出来ないといけません。
自己資金以外に、初期にお金を借りて、使わなくても、運転資金として手元にある程度キャッシュがあったほうが良いと感じました。
就農計画の考え方
トマトでの参入に決めた理由は、一人でも参入しやすく、売上の目処がたっていたからです。
地域平均反収は約8000kg
過去5年最低のトマト単価は280円/kg
初期経営面積は2反(20a)
ですので、8000✖️280✖️2=448万。
448万は、最低でも売上はあると考えました。
もちろんこの売上では生活は出来ないので、最低ラインとしての考え方です。
その最低売上見込みを参考に、私は400万を借入するため、計画表を作成。
初年度に農協さまから。
2年目に、規模拡大をするため、高山市から認定農業者に認定して頂き、日本政策金融公庫さまに融資をお願いしたのです。
400万を2回に分けて融資頂きました。
年間の返済金額は、売上の10%〜15%くらいだと、返済出来るとアドバイス頂きました。
例えば100万の売上で、10年返済。年間10万なら無理が無い経営になりそうです。
夢の計画
上記とは全く違う話になってしまうのですが、
お金を融資してもらう計画と、自分の夢の計画は全く違います。
収支計画は、いくら儲かるか?
ですが、夢の計画では、
「いくら儲けたいか!」
から考えた方が良いと思います。
私は1000万の目標ですので、
1000万=〇(単価)×〇(収穫量)
結果を積み重ねて、毎年少しずつ改善していくことが、大切でした。
私の場合は、収穫量を伸ばすのはもちろん一番大切ですが、自分の栽培方法もある程度決まっていましので、土地の条件を踏まえ、収穫量の上限は、平均よりやや上までしか伸びることは無いだろうと考えました。
3年目より単価を上げる方法を模索しました。
方法として、スーパーなどの卸売り販売、ふるさと納税の返礼品などに取り組んでいます。
現実的な収支計画と理想に近づくための夢の収支計画を二本立てできたら、良いと思います。
また一人で農業を経営していても、
「今年この売上をとりたい」
「今年こんな方法で取り組みたい」
などの決意発表が出来る機会を作ることが大切です。
私はスタッフに、今年スタート前に、目標などを発表するように心掛けています。
一人経営でも、仲間や、家族などに、発表会の機会があると良いです。
口に出すことや、人に聞いてもらえることで、より目標が現実的になるからです。
資材集め
計画を立てていると、お金のかかる資材・機械は、
トラクタ>ハウス>動力噴霧器>支柱、ビニール
でした。
初期投資を抑えるため、周りの農家さんから譲って頂ける資材を探しました。
その時に役にたったのは、所属していた農業組織である、
「農協青年部」「4Hクラブ」「出荷組合」などの仲間でした。
仲間の情報から、各資材を定価の1/5で揃えることが出来ました。
また、「これ使ってよ」
と先輩農家からもたくさんの資材を頂きました。
この恩は忘れられません。
こだわった部分は、
トラクタ本体は中古ながらも、堆肥をまきたかったので、バケットを付けました。
そのため、バケットだけは新品でした。
まとめ
- なにも無くても、工夫次第で新規就農は、なんとかなる。
- 段取りがすべて。各分野のスペシャリストに相談し、就農前にベストアンサーを探す。
- 就農計画、収支計画はしっかりと。
- 夢の計画を立て、稼ぐために、どんな手段を使うかも考える。
- 人付き合いはいつか役に立つ。