シンバファームのブログ

トマト農家から見た、飛騨高山の人と自然を書く

霜降る『霜降りトマト』

栽培最後にして、最高品質のトマトである、新葉ファームの霜降りトマト

この名前が付けられたお話を今日は知って頂きたいです。

きっと読んだあと、霜降りトマトを作る、自然のことも、新葉ファームの想いも知って頂けると思います。

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目次

 

乗鞍岳の思い出と霜降りトマト

霜降りトマトとは、山頂に霜が降るほどの冷え込みに耐えたトマトのこと名付けて「霜降りトマト」と呼んでいます。

観光地としても有名な飛騨高山市ですが、豊かな自然と、たくさんの農産物があることをもっと知ってもらいたいと願う、私の思い出と、地元への想いから出来た新葉ファームの物語でもあります。

 

飛騨山脈

飛騨高山には、飛騨山脈北アルプス)といって3000m級の山々が連なる大自然に囲まれています。

その中でも個人的に想い入れのある山があります。

それは岐阜県と長野県境にそびえ立つ「乗鞍岳」。

その標高は3026mにもなり、高山の自然を楽しめる観光名所の一つでもあります。

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この尾根がよく見えるこの景色は、何度見ても、嬉しくなってしまいます。

 

乗鞍岳への想い

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地元にいても飛騨山脈とは、ほとんど関わることが無いですが、乗鞍岳にはとても想いがあります。

それは私が小学生の頃、毎年一回乗鞍岳に登山をするというイベントがありました。

畳平(たたみだいら)という標高2702mまで車で行けるというのも魅力の一つですが、そこから山頂までは、実質300m程しか登らないので、小学生でも登ることができます。

登山帰りは、必ず生徒全員で清掃活動をして帰る。

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そんな小学校生活に6回も登った、想い出の山なんです。

小学生の頃は、山へ登る意味も、人の落としたゴミを拾うのも、何故しなきゃいけないのか全く理解出来ていませんでした。

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この写真の数々は、自然の美しさを改めて教えてくれます。

大人になり、こんな「農業」という職業につき、自然への有り難みを知ると、今思い返せば、素晴らしい活動をしていたのだと、改めて気付くことができました。

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そこで、この自然への感謝と、恩恵を表現した農産物は出来ないか?

と思ったのがこの「霜降りトマト」の名前を付けたきっかけになります。

 

霜が降る

素晴らしい山『乗鞍岳』と、新葉ファームの畑の標高差は、約2300mもあります。

100mの標高差ごとに気温が0.6℃変わるので、山頂とは約14℃の気温差が発生します。

高山の最低気温が10℃を下回る頃、山頂には霜が降り掛けるということです。

更に冷え、山頂には雪が降りかけ、雪化粧を纏います(2021年10月19日)

その寒さは乗鞍岳の山頂から吹き下ろされ、冬の訪れを示していきます。

紅葉が山の方から変わり始めた頃には、山は真っ白になんてこともあります。

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山頂から徐々に霜が降るのです。

10月下旬、いよいよ霜降りトマトが発売です。

 

トマトが糖を蓄える

山々に霜が降り始めるまで冷え込むと、トマトはその寒さに焦り、冬支度を始めるのです。

トマトは5℃以下になると中々赤く、色付きしません

また自然の中で栽培する飛騨では、暖房を使わない限り、終わりには抗えません。

寒さにさらされ、緑色の葉っぱは、寒さにあたった証拠である、むらさき色に変わり始めます。

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そのためトマトは、そのストレスから、子孫を残そうと必死になり、残る栄養を全てトマトの実の方へと送ります。

またトマトの実自体も、寒さで凍らないように、トマトに糖を蓄えようとします。

そのトマトの防衛本能から、最後にして、最高品質のトマトが出来上がるのです。

例えるなら、熟練の芸術家さんが、晩期になり、大作を残すようなことに近いと思います。

もちろん実によって差は出ますが、昨年の糖度は大玉トマト9度、ピッコラルージュは、13度まで出たものもあります。

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もちろん期間限定的ですが、それは水を絞って作る方法でもなく、肥料濃度を上げて作る方法でもなく、自然に寄り添い、4月から苗を育て、大切に育ててきた賜物であることを知って、食べて頂きたい。もちろん、最後まで健康に育ていないと、味は良くなりません。

この『霜降りトマト』は、霜が降る程の寒さに耐えたトマトを指し、飛騨の自然の恵みで愛情たっぷりに育てられた最後のトマトなんです。

 

乗鞍岳、地元への感謝

こんな素晴らしい景色が、自然が、雨水を濾過し、その水をトマトが飲む。

そんなトマトを育てた水の記事はこちらよりご覧ください。

 

shinba-farm.hatenadiary.com

 

この自然に、地元に恩返しをしていきたい。

本来なら昔みたいに、乗鞍岳に登って、清掃活動を出来たらいいと思います。

しかしトマト栽培中、中々畑から離れることは難しいです。

私も色々考えました。

そこでみなさまから、購入して頂いた新葉ファームのトマト。

その売上のほんの一部を、地元を盛り上げる団体、地元の自然を大切にする団体への寄付をすることに決めました。どの団体へ寄付したのかは、追ってご報告したいと思います。

ご協力を頂いたみなさま。購入を通して、みなさまにも、この地元高山を盛り上げることに協力して頂いたと思っています。

本当に本当にありがとうございました。

新葉ファームのトマト栽培は、強い霜が当たれば強制終了という、自然相手の土臭い栽培方法でございます。

だからこそ、自然のおかげと、感謝を忘れずに、来年につなげたいと思います。

この大好きな乗鞍岳と地元と共に、また来年もよろしくお願い致します。

新葉ファーム

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スペシャルサンクス

写真提供 きょうへいくん

飛騨丹生川クライマーズ協会

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